遮熱サーモバリアの素材と構造を理解して製品選びに活かす
カタログでは分かりにくい遮熱サーモバリアの素材・構造の違いを解説します
遮熱サーモバリアを正しく選ぶポイントは、「アルミの純度と層構成(エアー層・支持体・多層アルミ)の違い」を理解し、自社の屋根・壁・用途に合うシリーズを選び分けることです。
この記事のポイント
- サーモバリアは、アルミ純度99%以上の両面アルミ箔と、エアーキャップやPEクロスなどの支持体で構成された多層構造の遮熱シートです。
- 素材と構造の違いで、「厚みのあるエアー層タイプ(S・W)」「極薄・高強度のフィルムタイプ(エアー・スリム)」などに分かれ、用途や施工部位が変わります。
- 製品選びでは、「アルミ純度」「反射率・放射率」「厚さ・エアー層」「透湿性(結露対策)」を比較することで、カタログ以上に最適なグレードと工法を判断できます。
今日のおさらい:要点3つ
- サーモバリアの基本構造は「両面高純度アルミ箔+支持体(エアーキャップ・クロスなど)の多層構造」で、輻射熱を約97%反射します。
- 多層エアー層タイプは遮熱+断熱性が高く、屋根・天井向け、極薄タイプは透湿性や施工性が高く、壁・通気工法・結露対策向けです。
- カタログ選定では、用途別シリーズ(S・W・スリム・エアー・トップ等)と、厚み・透湿性・不燃性・支持体素材を確認し、設計条件とマッチさせることが重要です。
この記事の結論
- サーモバリアの素材・構造は、「両面高純度アルミ+多層支持体」という共通骨格の上に、エアー層の厚みや透湿性の有無などを変えたシリーズ展開になっています。
- 多層アルミ×エアーキャップのS・W系は屋根・天井向けの”断熱寄り”タイプ、極薄アルミ+クロスのエアー・スリム系は壁・通気・結露対策向けの”施工性・透湿寄り”タイプです。
- 「アルミ純度99%以上・反射率約97%」という基本性能は共通であり、選定の差は主に”厚み・エアー層・透湿性・支持体”にあります。
- 「屋根=厚みのあるエアー層」「壁=薄型・透湿」「機器まわり=耐熱・フィットタイプ」という使い分けを押さえると、カタログを読み解きやすくなります。
- 「素材・構造を理解してシリーズを選び分けること」が、サーモバリアを最大限に活かすための最短ルートです。
遮熱サーモバリアの素材・構造の基本とは?
サーモバリアを一言で言うと「アルミ箔+支持体の多層シート」であり、遮熱性能はアルミ純度と構造の組み合わせで決まります。
- サーモバリアは、アルミ純度99%以上のアルミ箔を両面に使用し、太陽からの輻射熱を約97%反射する遮熱シートとして定義されています。
- 素材の中心には、エアーキャップ(気泡層)やPEクロス、繊維シートなどが入り、数mmの空気層や引張強度・難燃性を確保する役割を持ちます。
- サーモバリアSなどの代表製品は、「アルミホイル+単層エアキャップ+アルミホイル」という3層構造で厚さ約3.7mm、サーモバリアエアーは「アルミ箔/PEクロス/アルミ箔」の0.13〜0.15mm厚の極薄構造と公表されています。
サーモバリアの基本素材(アルミ+支持体)の役割
まず押さえるべきは、「アルミ」と「支持体」がそれぞれ何を担っているかです。
- 高純度アルミ箔(99%以上)は、赤外線を約97%反射する高反射面として機能し、輻射熱を建物内部に入る前に跳ね返します。
- 支持体となるエアーキャップやPEクロス、繊維シートは、アルミ層を支えつつ、空気層の確保・強度・施工性・難燃性・透湿性などを補完します。
- 「アルミ純度・反射率」と「支持体の構造(エアー層か薄膜か)」の組み合わせで、屋根向けか壁向けか、結露リスクの高い場所か、などの適用部位が変わります。
多層アルミとエアー層がもたらす遮熱・断熱効果
「多層アルミ」と「空気層」の組み合わせこそがサーモバリアの特徴です。
- サーモバリアSは、エアーキャップに両面アルミ箔を貼った7層構造(アルミ+PE層など)で、反射性と断熱性を兼ね備えた万能タイプとして紹介されています。
- サーモバリアエアーは、アルミ箔/PEクロス/アルミ箔の極薄3層構造でありながら、アルミ純度99.35%・反射率97%、引張強度550kg/cm²クラスの高強度を実現しています。
- エアー層が厚いほど「遮熱+断熱寄り」、薄いほど「遮熱+施工性・透湿寄り」となり、屋根の外張りか壁の内張りかで最適なシリーズが変わります。
遮熱シート全般の素材バリエーションとサーモバリアの位置づけ
一般的な遮熱シートの素材構成を知ると、サーモバリアの立ち位置が理解しやすくなります。
- 他社遮熱材では、「アルミフィルム+発泡ポリエチレンフォーム+アルミ箔+不織布」「アルミ蒸着+ポリエチレンフォーム+アルミ蒸着フェルト」など、アルミ+樹脂フォーム+不織布の多層構造が一般的です。
- モノタロウ掲載の遮熱アルミ箔シートでは、「アルミ箔をPETフィルムとポリエチレンクロスで挟み込んだ三層構造」や、「片面アルミ蒸着+発泡PE+強化芯」といった構造が紹介されています。
- 「高純度アルミ両面+エアーキャップ or クロス」を採用するサーモバリアは、アルミ層の純度と反射率に特徴があり、他の発泡フォーム系遮熱材よりも”輻射熱特化型”と整理できます。
サーモバリアの素材・構造の違いをどう製品選びに活かす?
「同じサーモバリアでも、素材構成によって向き不向きがはっきり分かれる」という点を押さえておくことが大切です。
- サーモバリアS:エアーキャップ+両面アルミの7層構造で、屋根・壁・天井などあらゆる部位に使える万能タイプとして位置づけられています。
- サーモバリアエアー:アルミ箔/PEクロス/アルミ箔の0.13〜0.15mm極薄タイプで、透湿抵抗値0.00319(㎡・s・Pa)/ng、-30〜90℃対応とされ、通気工法や結露対策用途に向きます。
- サーモバリアスリム:厚さ0.2mmクラスのシートタイプで、断熱層不要な部位や、ベーパーバリア兼用用途に適した製品として紹介されており、壁の内外側に使いやすい構造です。
代表シリーズごとの構造と適用イメージ
「どのシリーズをどこに使うか」を具体イメージでつかむことが最も大切です。
- サーモバリアS:アルミホイル+単層エアキャップ+アルミホイル(厚さ約3.7mm、1.2m×40m)で、屋根・天井・壁など多用途向け。断熱性と遮熱性のバランスが良く、工場・倉庫で使われる標準タイプです。
- サーモバリアW:二重エアーキャップ+両面アルミで、より厚みと空気層を持つ高性能タイプとして紹介され、屋根外張りや暑さの厳しい工場・体育館などに向きます。
- サーモバリアエアー:アルミ箔/PEクロス/アルミ箔の0.2mmタイプで、細かい穴により湿気を逃す構造を持つため、通気工法や結露対策を重視する屋根・壁用途に適しています。
素材・構造から見た「選び方の軸」
「アルミ純度以外の何を見るか」を整理すると選定がスムーズです。
- 厚さ・エアー層:屋根・天井のような強い輻射熱+伝導熱を受ける部位には、エアーキャップを含む厚みのあるタイプ(S・W系)が適しています。
- 透湿性:結露リスクの高い通気工法や高湿度環境では、透湿抵抗値を持つエアー系や極薄クロスタイプ(エアー)を選ぶと、遮熱+結露抑制を両立しやすくなります。
- 不燃性・強度:不燃材認定や高引張強度が必要な部位では、PEクロスやガラス繊維を支持体に用いた製品を選び、施工性と耐久性を確保します。
よくある質問
Q1. サーモバリアはどんな素材でできていますか?
サーモバリアは、アルミ純度99%以上の両面アルミ箔と、エアーキャップやPEクロスなどの支持体を組み合わせた多層構造の遮熱シートです。
Q2. 多層アルミ構造のメリットは何ですか?
複数のアルミ層と空気層により、輻射熱を約97%反射しつつ、断熱層としても機能するため、屋根や壁からの熱侵入を効率的に抑えられます。
Q3. サーモバリアSとエアーの違いは?
Sはエアーキャップ+両面アルミの厚み約3.7mmの万能タイプで、屋根・天井向け、エアーはアルミ箔/PEクロス/アルミ箔の0.13〜0.15mm極薄タイプで、透湿性・施工性重視の壁・通気工法向けです。
Q4. アルミ純度99%以上だと何が良いのですか?
アルミ純度が高いほど赤外線反射率が高まり、サーモバリアでは約97%の反射率を実現し、輻射熱の遮断性能が向上します。
Q5. サーモバリアは断熱材とどう違いますか?
断熱材は主に伝導・対流熱を遅らせる厚い材料で、サーモバリアは高純度アルミで輻射熱を反射する薄い遮熱材です。多くの現場では両者を組み合わせて使用します。
Q6. 結露が心配な場所にはどのタイプが適していますか?
透湿性を持つサーモバリアエアーなど、アルミ箔+エアー層+基材の多層構造で湿気を逃すタイプを選ぶと、遮熱と結露抑制を同時に実現しやすくなります。
Q7. 不燃性や強度はどう確認すればよいですか?
仕様書に記載された不燃材料認定や引張強度(例:550kg/cm²)、支持体素材(PEクロス・ガラス繊維など)を確認すると、安全性と耐久性の目安になります。
Q8. サーモバリアは屋根と壁で同じものを使っても大丈夫ですか?
万能タイプSなどは両方に使えますが、屋根には厚みのあるエアー層タイプ、壁には薄型・透湿タイプを使い分けた方が、コストと性能のバランスが取りやすくなります。
Q9. 他社の遮熱シートとの構造上の違いは何ですか?
一般的な遮熱シートがアルミフィルム+発泡PEフォーム+不織布などの蒸着構造であるのに対し、サーモバリアは高純度アルミ箔両面とエアー層を組み合わせた、高反射・高耐久仕様が特徴です。
まとめ
- サーモバリアの素材と構造は、「高純度両面アルミ箔+エアーキャップやクロスなどの支持体」で構成され、輻射熱を約97%反射する遮熱性能と、用途に応じた断熱・透湿・強度を両立しています。
- 製品選びでは、アルミ純度・反射率は前提として、「厚みとエアー層」「透湿性」「不燃性・強度」「用途別シリーズ(S・W・エアー・スリム等)」を比較し、屋根・壁・設備まわりなど部位ごとに最適なタイプを選定することが重要です。
- 遮熱サーモバリアは、高純度アルミと多層構造の違いを理解してシリーズを選び分けることで、現場に最適な遮熱性能を引き出せる製品です。