2026.09.15
投稿日:2026.09.16
工場の暑さを放置すると、損失は4方向に積み上がります。熱中症による労災リスク、生産性の低下、人材の流出、そして設備と製品への影響です。どれも今年の決算には出てきません。だから見えにくい。しかし2025年6月には職場の熱中症対策が事業者の義務として強化され、放置は経営判断の問題になりました。
毎年、夏になると同じ会話が繰り返されます。「今年も暑いな」「扇風機、もう1台入れるか」。そして9月が来て、話は自然に消える。来年の春にはまた忘れている。工場の暑さ対策が後回しになりやすいのは、緊急性が季節限定だからです。ところが、担当者の頭の片隅にはずっと残っている。「もし誰かが倒れたら」「若い子がまた辞めたら」。口に出すほどではないが、消えもしない。この記事は、その引っかかりを具体的な数字と責任の話に置き換えるために書きました。判断材料として使ってください。
目次
工場・倉庫の暑さを放置した場合に生じる影響を、労働安全、生産性、人材、設備・製品の4つの側面から整理します。あわせて、2025年6月に施行された労働安全衛生規則の改正で何が義務化されたのか、対策の優先順位をどう決めるか、そして費用をかけずにできることから何を始めるかを扱います。不安を煽る目的ではなく、判断の材料として読んでいただくための記事です。
一言でいうと、放置のコストは目に見えないところで積み上がります。最も重要なのは、法令上の義務が既に発生しているという点です。2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、一定の暑熱環境で作業を行わせる事業者には、体制の整備や手順の作成、関係者への周知が求められるようになりました。対策をするかしないかではなく、何をどこまでやるかの段階に入っています。
厚生労働省は労働安全衛生規則を改正し、職場における熱中症対策を強化しました。2025年6月1日施行で、暑熱環境下の作業について、熱中症の自覚症状がある者や周囲が異変に気づいた場合の報告体制の整備、症状悪化を防ぐための措置の手順作成、そしてこれらの関係作業者への周知が求められています。努力義務ではなく、規則上の義務です。
熱中症の危険度は、気温だけでは測れません。厚生労働省が示すWBGT値は、気温・湿度・輻射熱を組み合わせた指標です。屋根からの輻射熱が強い工場では、同じ気温でもWBGT値が高くなります。まずは自社の作業環境で測ってみることが、実態把握の第一歩になります。
労働契約法では、使用者は労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をするものとされています。熱中症が発生した場合、この安全配慮義務が問われる可能性があります。正直なところ、「知らなかった」は通用しにくい領域です。
労災が発生すれば、休業補償だけでなく、原因調査、再発防止の報告、場合によっては行政の指導が入ります。取引先への説明も必要になるかもしれません。ケースによりますが、事後対応にかかる時間と労力は、事前対策の比ではありません。
誤解のないように書いておくと、これは「対策していない会社が悪い」という話ではありません。工場の暑さは、簡単に解決できるものではない。予算も工期も、日々の稼働との調整も必要です。ただ、義務の枠組みが変わった以上、何もしていない状態を続ける理由は説明しにくくなった。そういう段階だということです。
高温環境では集中力が落ち、作業ミスが増えます。これは感覚ではなく、多くの研究で指摘されている傾向です。午後の生産量が朝より落ちる、夏場だけ不良率が上がる。こうした変化があるなら、環境が影響している可能性があります。
暑さが厳しい現場では、休憩の頻度を増やさざるを得ません。安全のためには必要な措置ですが、その分、稼働時間は減ります。よくあるのが、夏場だけ残業が増えるパターン。実は、これも暑さのコストです。
1人あたりの生産性が夏の3か月だけ数%落ちるとして、従業員数を掛ければ年間の損失額が出ます。粗い試算で構いません。この数字と工事費用を並べたとき、判断が変わることがあります。実は、稟議が通った企業の多くは、この計算をしています。
退職理由として「暑さ」が挙がることは、ほとんどありません。しかし現場で話を聞くと、決定打ではないが理由のひとつだった、という話は珍しくない。よくあるのが、若い方から先に離れていくケースです。
工場見学のある採用では、応募者は現場の空気を確かめています。夏の見学で「ここは暑いですね」と言われたとき、何と答えるか。設備投資をしている事実があれば、それ自体が説明材料になります。逆に何もしていなければ、言葉で取り繕うしかありません。
人手不足が続く中、採用コストは上がり続けています。一人採用するのにかかる費用と、環境改善の投資額。この2つを並べて考える企業が増えてきました。ケースによりますが、環境投資のほうが結果的に安く済むという判断もあり得ます。
制御盤、モーター、コンプレッサー。電子機器や回転機器は、高温環境で故障率が上がります。夏場に集中して不具合が出るなら、環境の影響を疑う価値があります。
樹脂、接着剤、食品、医薬品。温度で品質が変わる製品は少なくありません。倉庫の温度上昇によって、保管品の劣化やクレームにつながる可能性があります。実は、これが遮熱工事の動機になるケースも多いのです。
屋根材は、日射で温度が上がり、夜間に冷えます。この繰り返しが伸縮を生み、固定部の緩みや塗膜の劣化を進めます。遮熱シートを張ると屋根材の温度上昇が抑えられるため、屋根の保護という側面もあります。暑さ対策と屋根の延命が同時に進む、という考え方です。
この4つの損失は、どれも単独では決め手になりません。労災はまだ起きていない、生産性の低下も数字にしていない、人が辞めたのは別の理由かもしれない。個々に見れば、先送りできる理由はいくらでもあります。ところが4つを並べたとき、印象が変わる。判断が動くのは、たいていこのタイミングです。
岐阜県の部品工場では、夏場の不良率と残業時間を前年比で集計しました。総務のご担当はこう話します。「感覚では通らなかった話が、表にした途端に前に進んだ」。金額に置き換えることで、暑さが経営課題として認識された例です。
愛知県の倉庫では、パートの方が体調を崩したことがきっかけでした。幸い大事には至りませんでしたが、その後、屋根の遮熱と換気の見直しを実施。担当の方は「起きてから動いたことを、今も反省している」と話していました。
相談に来られる方が最初に整理するのは、なぜ今なのかという点です。法改正、人材確保、電気代、屋根の劣化。理由は企業ごとに違いますが、その一つが決まると社内の議論は一気に進みます。逆に「いつかやる」のままだと、毎年同じ会話が繰り返されます。
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、暑熱環境下での体制整備や手順作成、周知が義務化されています。
市販のWBGT測定器で計測できます。厚生労働省が基準値を示しているため、それと照らして判断してください。
あります。休憩時間の設定、送風機の配置見直し、開口部の運用変更など、運用で改善できる部分があります。
現状把握です。作業位置と屋根裏の温度、WBGT値を測ってください。数字がないと優先順位が決められません。
熱を入れない根本対策です。ただし内部発熱や開口部が主因の場合は、他の対策との併用が必要になります。
省エネや脱炭素関連の制度を活用できる場合があります。年度と要件により変わるため、その都度の確認が必要です。
施工前後で同じ時間帯・同じ場所の温度を比較します。不良率や残業時間などの業務データも併せて見ると有効です。
問題ありません。現地調査・お見積りは無料で、現状把握のための測定についてもご案内しています。
工場の暑さを放置しても、来月の決算に影響は出ません。しかし損失は、労災リスク、生産性、人材、設備・製品という4方向に静かに積み上がります。そして2025年6月の法改正により、対策は経営判断であると同時に法令上の要請にもなりました。「今年も何とかなった」を何度繰り返せるか、という問題です。
とはいえ、いきなり大きな工事を決める必要はありません。まずは温度を測り、現状を数字にすることから始めてください。日本いぶしは岐阜県岐阜市で創業100年以上、施工実績10万件以上の屋根工事会社として、岐阜・愛知の工場・倉庫の暑さ対策を手がけています。現地調査・お見積りは無料。「何から手をつけるべきか」という段階のご相談で構いません。0120-548-124、受付は平日8:00〜18:00です。
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