2026.09.24
投稿日:2026.09.21
遮熱シートの自社施工は、法令上のハードルが高い作業です。屋根の上は高所作業にあたり、墜落防止措置や特別教育が必要になります。スレート屋根では踏み抜きによる重大事故のリスクもある。材料費だけを見れば安く見えますが、安全対策と労災リスクを含めれば、話は変わります。
見積を見て、まず思うことがあります。「材料はいくらなんだろう」。ネットで検索すれば、遮熱シートらしきものは出てくる。うちには工務の人間もいるし、高所作業も日常的にやっている。「これ、自分たちでできるんじゃないか」。そう考えるのは自然です。設備投資の予算が厳しければ、なおさら。ただ、屋根の上の作業は、工場内の高所作業とは前提が違います。この記事では、自社施工を検討する前に確認すべき法令上の要件と、実務上のリスクを整理します。判断そのものを止めるつもりはありません。判断材料をそろえるための記事です。
目次
屋根上での作業は、労働安全衛生法上の高所作業に該当します。本記事では、必要となる安全措置と資格、スレート屋根特有の踏み抜きリスク、施工品質が効果に与える影響、保証や労災の扱い、そして自社施工が現実的なケースとそうでないケースを整理します。安全に関わる内容のため、判断は自社の安全管理部門とも共有してください。
一言でいうと、材料費の差より、安全対策と事故時の責任のほうが重いということです。最も重要なのは、屋根上作業が法令の規制対象だという点。墜落防止措置、特別教育、作業計画。これらを整えるコストと手間を積み上げると、外注との差は想像より小さくなります。そのうえで判断してください。判断するのは会社であり、この記事はその材料です。
労働安全衛生規則では、高さが2m以上の箇所で作業を行う場合、作業床の設置や、それが困難なときは墜落制止用器具の使用など、墜落を防ぐ措置が求められます。工場の屋根は当然この高さを超えます。ヘルメットと安全帯があれば大丈夫、という話ではありません。
フルハーネス型の墜落制止用器具を使って高所作業を行う場合、特別教育の受講が必要です。社内に受講済みの作業者がいるか、確認してください。実は、ここで「該当者がいない」と分かるケースが多い。教育の手配から始めると、それだけで時間がかかります。
高所作業では、作業手順、使用する設備、緊急時の対応をあらかじめ定めておく必要があります。単に「上がって張るだけ」では済みません。屋根の勾配、風の条件、資材の運搬方法。これらを含めた計画が要ります。
屋根のけらばや、明かり取りの部分は特に危険です。これらの箇所への囲いや覆い、あるいは防網の設置が必要になります。作業に慣れていないほど、こうした箇所への意識が薄くなりがちです。
「うちは日常的に高所作業をしている」という会社は多いと思います。ただ、屋内のキャットウォークや脚立作業と、屋根の上はまったく別物です。風がある、勾配がある、足元が滑る、逃げ場がない。しかも夏の屋根表面は素手で触れないほど熱くなります。慣れている人ほど、この違いを軽く見てしまう傾向があります。
経年したスレート屋根は、見た目が問題なくても強度が落ちていることがあります。体重をかけた瞬間に割れ、そのまま落下する。これが踏み抜き事故です。実際、屋根からの墜落は建設業の重大災害として繰り返し注意喚起されています。
スレートなど、踏み抜きの危険がある屋根の上で作業する場合、幅が30cm以上の歩み板を設けるなどの措置が労働安全衛生規則で求められています。この措置なしに上がるのは、法令上も実務上も避けるべきです。
古いスレート屋根には、アスベストを含む製品が使われている場合があります。割れたり削ったりすれば飛散のおそれがある。取り扱いには法令上の規制があり、専門的な知識が必要です。当社は他社では対応が難しいスレート屋根への施工も手がけていますが、それは前提となる知識と体制があるからです。
付け加えると、屋根の上での作業は真夏に行うことになりがちです。暑さ対策のための工事ですから当然なのですが、作業者自身が熱中症のリスクにさらされる。厚生労働省も暑熱環境下での作業について体制整備を求めています。慣れない作業を、最も過酷な時期に、慣れない人間が行う。この組み合わせが一番危ないのです。
シート同士の重ねが足りなければ、そこから熱が入ります。端部の処理が甘ければ、風でめくれる。輻射熱を約97%カットという性能も、正しく施工されてこそ発揮されます。よくあるのが、真ん中はきれいなのに端が雑、というパターン。ここは経験が出る部分です。
風速40m/s相当の耐候性という数値は、規定どおりの固定を前提とした試験結果です。ビスのピッチや位置を自己流で決めれば、この前提は崩れます。台風の多い地域では、この点は特に重要になります。
折板屋根には、雨水が流れる筋があります。これを塞ぐ形でシートを張れば、水が溜まり、逆に雨漏りを招きかねません。屋根の水の流れを読むのは、経験のある職人でも神経を使う部分です。
自社施工の場合、製品保証や施工保証の対象外となることが一般的です。数年後に不具合が出ても、対応は自社で行うことになります。ケースによりますが、この点が最も見落とされやすいリスクです。
なお、これらは「素人には無理だ」という話ではありません。要件を満たせば、作業そのものは可能です。ただ、要件を満たすには準備と時間がかかる。その準備を数年に一度の工事のために整えるのが合理的かどうか、という判断になります。
岐阜県の部品工場では、当初は自社施工を検討していました。ところが安全管理の担当者が確認したところ、フルハーネスの特別教育を受けた作業者が社内にいなかった。教育の手配、器具の購入、作業計画の作成。これらを積み上げた結果、「差額が思ったほどなかった」という結論になったそうです。
愛知県の倉庫では、屋根の遮熱は外注し、事務所の窓の遮熱フィルムだけを自社で行いました。担当の方は「危ない場所は任せて、安全にできるところだけやった」と話しています。全部か外注かの二択ではない、という考え方です。
検討した方が最後に立ち返るのは、事故が起きた場合の想定です。労災の手続き、原因の調査、再発防止の報告、そして本人と家族への対応。金額の差より、この重さで判断が決まる。至って合理的だと思います。
自社施工を検討している段階でも、外注の見積は取っておくことをおすすめします。比較の基準がなければ、安いのか高いのかも分かりません。当社は現地調査・お見積りとも無料です。数字が出てから判断しても、まったく遅くありません。
法令上の安全措置と資格を満たせば作業自体は可能ですが、高所作業の要件を整えるハードルは高くなります。
フルハーネス型墜落制止用器具を使う高所作業では、特別教育の受講が必要です。作業計画の作成も求められます。
踏み抜きの危険があります。幅30cm以上の歩み板を設けるなどの措置が法令で求められています。
製品によっては施工店経由での販売に限られる場合があります。取り扱いの条件は販売元にご確認ください。
一般に製品保証・施工保証の対象外となります。不具合が生じた場合の対応は自社で行うことになります。
労災の対象となり、原因調査や再発防止の報告が必要です。安全配慮義務が問われる可能性もあります。
屋根上以外の場所であれば選択肢はあります。危険を伴う箇所は外注するという分け方が現実的です。
施工範囲の優先順位づけや、他の工事との同時施工で足場を共有する方法があります。ご相談ください。
遮熱シートの自社施工は、材料費だけを見れば魅力的に映ります。しかし屋根上作業は法令の規制対象であり、墜落防止措置、特別教育、作業計画が必要です。スレート屋根では踏み抜きの危険もある。そして施工品質は、効果と耐久に直結します。安全対策のコストと事故時の責任まで含めて、判断してください。
費用を抑えたいのであれば、施工範囲の優先順位づけや、他の工事との同時施工という方法もあります。日本いぶしは岐阜県岐阜市で創業100年以上、施工実績10万件以上を重ねてきた屋根工事の専門会社です。岐阜・愛知を中心に、工場・倉庫の遮熱工事を手がけています。現地調査・お見積りは無料。「どこまで自社でできるか」というご相談も含め、0120-548-124までどうぞ。受付は平日8:00〜18:00です。
2026.09.24
2026.09.23
2026.09.22
工場・倉庫の新たな暑さ対策
「スカイ工法」の施工なら
100年以上続く屋根工事会社、日本いぶしにお任せください。